プレスリリースとは? その意味と効果から作成・配信の注意点まで解説

最終更新日: 2021年05月01日(土) PRのヒント

企業からメディアへ最新情報を提供する資料、プレスリリース。この言葉の定義、期待されるメリット、作成・配信の方法、実施する上での重要ポイントなどをわかりやすく解説します。効果的な広報活動を実現するための参考にしてください。

プレスリリースとは? 広告とは違う「広報」の基本

 

プレスリリースは企業が発信する公式文書

プレスリリースは、企業や団体が新製品や新サービス、イベントなどに関する最新情報を提供する「公式文書」です。提供先は、テレビ局や新聞・雑誌社、ニュースサイトなどのメディア(報道関係者)です。メディアはプレスリリースを元にしてコンテンツを作成・発信しています。

プレスリリースはニュースやトピックといったコンテンツの素材と言えるでしょう。ニュースなどの素材として用いられるために、プレスリリースで企業が提供する情報はファクトであることを大前提として、最新で具体的なものであることが条件になります。プレスリリースの配信は、企業の最新情報を広く世の中に伝えるための重要な広報手段のひとつです。

広告と広報(プレスリリース)の違い

広告とは一般的に、企業・団体がテレビや新聞、ウェブメディアなどの広告枠を購入して広告主となり、視聴者や読者など一般消費者に対して企業やブランドの名称、商品、サービスなどを宣伝する活動を意味します。

一方のプレスリリースは、メディアに企業・団体の最新情報を提供し、ニュースなどのコンテンツとして取り上げてもらうことを目的とする広報活動手段のひとつです。ですから、プレスリリースでは直接商品やサービスの購入を促すような広告的表現は不適切とされ、正確で客観的な情報であることが求められます。

昨今は「PRTIMES」「アットプレス」「バリュープレス」などプレスリリースのウェブ配信システムが存在しますので、おなじようにウェブ上に掲載される広告となにが違うのか? 混同される方も多いようです。「PRTIMES」や「アットプレス」は、ウェブに載ったプレスリリースをメディアがみて、第三者として作成・発信するニュースや取材記事などに発展することを期待するサービスです。よって「PRTIMES」や「アットプレス」でたくさん転載されたとしても、そこから大きな反響が得られることを期待すると、肩透かしを喰らうことになります。

広告は、企業から潜在顧客へ商品などの特徴やメリットを直接、訴求できる活動ですから、掲載量が増えるほど反響に繋がりやすいものです。プレスリリースの配信は、あくまで広報の手段でありスタート地点です。転載数が多くてもあまり意味はありません。プレスリリースでメディアからの取材を獲得できてはじめて、社会全体から信頼感や共感を得られやすい形式で情報を広げることができ、大きな反響を得られるというメリットがあります。つまりレバレッジが効くのです。

「プレスリリース」と「ニュースリリース」の相違点

元々、ニュースリリースは自社のニュースを世の中に伝える文書であり、プレスリリースは自社のニュースをメディア(報道関係者)に伝える文書という違いがありました。近年ではプレスリリースとニュースリリースは類似のものだと理解されており、それらを配信する目的は、より多くの人々に自社の最新ニュースを届けることにあります。

最近ではメディア向けに発信したプレスリリースと同一のものを自社のサイトなどに掲載するケースも多数見られます。プレスリリースの配信代行サービスを利用した場合は、複数のウェブメディアにプレスリリースが転載され、人々に情報を知ってもらう機会も増えています。

プレスリリースの基本的な形式

 

プレスリリースの構成

 

基本スタイル&必須情報

プレスリリースを作成する上で、必須となる情報は以下の通りです。
・タイトル
・リード文(内容の要約)
・本文(特徴、背景、今後の展望など)
・企業情報
・問い合わせ先

・タイトル

プレスリリースで最も重要となるのが、タイトルです。

メディアには1日数百件以上とも言われるプレスリリースが届けられ、インターネット上にも数多くのプレスリリースが掲載されています。プレスリリースに記した内容やポイントを簡潔にまとめたタイトルを作成することは、メディア関係者の目にとまる条件です。

リリースする情報の中で最も重要な部分を中心にして、30文字以内でわかりやすくまとめたタイトルにするよう心がけましょう。メディア関係者の印象に残りやすい「業界初」「利用者数〇万人を突破」といったフレーズや具体的な数値をタイトルに含めことができれば、より効果的です。

・リード文

リード文は、プレスリリース全体を要約した文章です。タイトルで内容に興味を持ったメディア関係者が次に読むリード文は、1~3文を目安としてプレスリリース全体を理解できるものにすべきです。

・本文の記載方法

プレスリリースの本文には特徴、背景、今後の展望などを中心にして、情報のポイントを明確な文章で記載しましょう。中心になる情報については、具体的な事柄をわかりやすく詳細に伝えることが必要です。

またその情報の背景となる、商品やサービス導入の経緯や開発時のエピソードなどを盛り込むことで、より興味深い内容になるでしょう。今後の展望を数値や日程などで具体的に記すことも、注目すべき事柄だと理解してもらう上で有効です。

本文の末尾に補足説明や参照データを記載し、リリースする情報の信頼度を高めることにも留意しましょう。

図表や画像の使用

プレスリリースに一目で情報のポイントを理解できる図表や画像を挿入することも効果的な手法のひとつです。情報に関連した写真や画像、本文を補足する図表などがプレスリリースに適した素材の例です。このような素材を普段から収集・整理しておくことが大切です。

プレスリリースで配信するテーマ

 

プレスリリースに適した情報

「報道資料」とも呼ばれるプレスリリースは、企業・団体からの公式発表です。当然、広告とは異なるコミュニケーションツールであり、抽象的な表現、主観的な文言は避け、具体的で客観的な事実を記すことが求められます。

企業・団体名や商品やサービス、イベントの名称などを正確に記載すること、紹介するデータや図表などに付す説明を客観的にすることが必須となります。自社の公式サイト内に掲載する上では問題のない、挨拶や発信者の考えなどを記した文章、定期的なお知らせなども、プレスリリースには不適切です。

テーマサンプル一覧

プレスリリースに適した情報の実例となる、具体的なテーマサンプルを以下にご紹介します。
・新商品/新サービスの発表
・キャンペーン実施の告知
・イベント/セミナーなどの開催告知
・調査報告
・企業動向(新会社・新ブランド設立、社名変更、企業間の吸収・合併、業務提携、支援・協力、研究開発・特許など)

・実績(実績報告、制作事例、導入事例など)

プレスリリースのメリットと注意点

 

期待できるメリット

 

情報の信頼度向上

プレスリリースを配信することによって、その情報がテレビや新聞、雑誌などのメディアに掲載される可能性があります。 メディアの客観的な視点によって発信される情報は、企業が直接、出稿する広告と比べて信頼性が向上することが期待されます。

またメディアの取り扱い方によっては予想を超える注目や反響を集めるケースも少なくありません。こうしたプレスリリースの特徴は、企業や団体にとって大きなメリットとなるものです。

コストパフォーマンスの高さ

プレスリリース配信に必要なコストは、プレスリリース原稿の作成コスト、配信業務にかかる通信費などのコスト、プレスリリース配信サービスを利用する場合はその料金となります。

配信した情報がメディアに掲載されれば、コストパフォーマンスは非常に高くなります。広告の出稿には相応のコストが必要になりますが、プレスリリース配信は低コストで大きな効果が見込める取り込みであると言えます。

社内、ステークホルダーへの好影響

プレスリリースの配信は、本来の対象であるメディア関係者だけにとどまらず、自社の社員、協力会社、株主、取引先といったステークホルダーに対しても有効な取り組みとなるものです。

プレスリリースをメディアに配信すると同時に、自社サイトなどにも掲載する企業・団体が近年、増加してきました。プレスリリースをインターネット上で誰もが目にすることができ、一般の消費者はもちろん、社員や関係者などにも自社の最新動向を伝えることが可能になっています。

公式文書として最新情報がわかりやすく簡潔にまとめられたプレスリリースは、投資家や新規取引先に対して自社の動向や特徴を説明する上でも活用しやすいツールです。プレスリリース配信を継続して実施することで、企業のブランドイメージを強化させていけば、自社に興味や好印象を抱く人々を増やし、採用活動にプラスとなることも期待できます。

プレスリリースを実施する際の注意点

 

メディアの情報取り扱いについて

プレスリリースの前提として、どれだけ手間をかけて作成したリリース原稿であっても、メディアに取材・掲載してもらう確証があるわけではありません。メディア関係者に届けられるプレスリリースの量は膨大で、自社のプレスリリースが埋もれてしまい読んでもらえないケースも当然考えられます。

読んでもらえたとしても、メディア関係者が取り扱うべき素材だとは感じないこともあります。実際にメディアから取材を受けて掲載予定が決まった場合でも、大きな事件・事故などのニュースが差し込まれて掲載が見送りになることも少なくはありません。

また、報道内容に関して企業・団体からメディアにリクエストを出すことはできません。プレスリリースや取材で提供した内容が、それぞれのメディアの視点を通してそのメディアの考える「人々が必要としている情報」に変換された上で掲載されることになります。

プレスリリースを読んだメディア関係者が注目した点や解釈によっては、配信した企業が予想もしなかった形でメディアに取り上げられる可能性もあります。プレスリリースや取材情報がどのように編集されて掲載・放映されるのかは、事前に知ることができないという点も十分に理解しておきましょう。

プレスリリースを作成する際は、自社の視点だけでなくメディアの視点を意識して原稿をまとめることが大切になります。自社の発信する情報内容や意図をメディアに理解してもらえるようにするためには、経営姿勢や企業としてのビジョンなどを継続的に発信し、メディア関係者と自社の広報担当者との間に信頼関係を構築していくことが重要になります。

プレスリリース原稿の基本マナー

プレスリリースに記載する文章に求められるのは、具体的で客観的な「事実」を記すことです。
イメージやインパクトを重視した表現は、広告ツールにおいては問題なかったとしても、プレスリリースは不適切な文章です。こうした表現を多用したプレスリリースを配信してしまうと、メディア側からの信頼を得ることが難しくなってしまいます。十分に注意を払って、公式文書にふさわしい原稿を作成するようにしましょう。

問い合わせ等への対応

配信したプレスリリースが予想以上の大きな反響を得た場合、問い合わせなどの対応が困難になる可能性があります。以下のような事態が生じた際の対応策をあらかじめ準備しておきましょう。
・電話やメール、チャットなどによる問い合わせの急増

・自社サイトへのアクセス集中によるサーバーのダウン

・来客急増による店舗運営の混乱

・受注の急増による商品やサービスの供給不足

上記のような問題が生じた場合の責任者や担当者、オペレーションを事前に定めておき、適宜スタッフの増員や製品の増産といった対応策を実施できるような体制を整えておくことが必要でしょう。柔軟な対応によって自社の活動を円滑に進めるために、配信したプレスリリースの内容を社内で共有する仕組み作りも重要です。

メディアはどんなプレスリリースに関心を持つ?

 

メディアが求める「ニュースバリュー」

プレスリリースだけでなく、取り扱うコンテンツの素材を選定する際にメディアが第一にチェックするのは「ニュースバリュー(情報価値)」の有無です。メディアの担っている役割は、新規性や社会性、公共性が高く、読者や視聴者が関心を持つ出来事や情報を発信することです。

配信したプレスリリースが多くのメディア関係者に関心を持たれるには、プレスリリースに記載された情報がメディアの考える、ニュースバリューを持っていることが必須条件となります。ニュースバリューの実例として挙げられるのは以下のような情報です。

ニュースバリューの主な要素と実例

 

・新規性

世の中になかった商品・サービスなどの登場

例)世界初、日本初上陸、業界初、斬新なアイデアを生かした新商品・新サービス

 

・特異性

人々に驚きを与えること

例)三独(独自、独特、独創)や革命的な商品・サービス、意外な調査結果、他社・他商品との差異

 

・社会性

社会問題や社会的な重要テーマに関すること

例)社会問題や社会的関心事を反映した商品・サービス(夏も快適なマスク、あおり運転予防グッズ

 

・時事性

トレンドや時事ネタに関すること

例)インターネットを介して自宅で利用できる最新のエンターテインメントや教材、コミュニケーションツールなど

 

・希少性

珍しさや貴重さを感じること

例)数量限定の商品・サービス、店舗限定の商品・サービス

 

・ストーリー性

人々に感動を与える物語性のあること

例)新製品開発秘話、起業時のエピソード

プレスリリースの配信方法

 

配信代行サービスを利用する

プレスリリースのウェブ配信を代行するサービスが数多く提供されています。利用に当たっては各サービスのサイトに登録し、用意されたテンプレートに情報を入力するだけで配信できます。配信と併せて各サービスと契約する複数のニュースサイトにプレスリリースが転載されます。

 

自社からメディアに直接配信する

新聞社や雑誌社、各種ウェブメディア、テレビ局、テレビ制作会社などが公開している連絡先にメールや郵送、FAXなどで自社から直接情報を届けることも可能です。自社の業種やターゲットなどに応じて、ビジネス、投資、ファッション、ゲーム、インテリア、オンラインサービスなどの分野に特化したメディアへ配信することが重要です。

自社配信は最もコストのかからない方法ですが、プレスリリース原稿の作成や配信先の選択を自社でおこなうノウハウや手間が必要になります。

PR会社に配信方法を相談する

プレスリリースのテーマ決めから原稿作成、配信するタイミング、配信方法までを、プレスリリースはもちろん企業・団体の広報活動全般に精通したPR会社に相談するという方法も検討する価値があります。

企業の広報担当やメディアでの活動経験を有したPR会社のスタッフに自社の希望や課題を伝えることで、最善の方法でプレスリリース配信を実現することができます。サービス内容や料金などは各PR会社によって異なりますので、興味を持った会社がある場合は、具体的なサービスやコストについて問い合わせてみましょう。

プレスリリースを活用し、企業活動への注目度を高める

プレスリリースは現代の企業にとって、広報活動の柱のひとつとなる重要なツールです。継続して高品質なプレスリリースを配信していけば、自社にとって貴重な資産となるメディアとの良好な関係を築いていくことができます。自社の情報を適切に表現したプレスリリースの作成・配信を実現できるよう、効率よく成果を出すことのできる取り組みを進めていきましょう。

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