初めてのプレス発表で多数の取材を獲得|社会を動かす「PRフレーム」を日常業務にも活用中

2023年10月06日(金) 事例紹介

国内最大級の規模かつ日本で唯一の独立系専業信託銀行でもある三井住友信託銀行。

グループ全体では資産運用残高、企業年金受託残高、証券代行管理株主数、不動産証券化受託残高など多くの指標で業界首位に立ち、投資信託、保険、住宅ローン、遺言、不動産など豊富な商品を展開しています。

「個人」「法人」「投資家」と大きく分けて3つの顧客セグメントを持ち、経済の動き全体を見渡せることが同社の大きな強みです。そんなオンリーワンのメガ信託である三井住友信託銀行では、数年前までプレス発表会というと、業務提携や合併など、会社全体に関わる大きなニュースの時のみのイベントであったといいます。それが、1つの商品を打ち出す際にも十分に成り立つとわかったのは大きな発見でした。

初めて商品にフォーカスしたプレス発表会を開催し、それが成功体験になったという人生100年応援部のお二人にお話を伺いました。

国内唯一の独立系専業信託銀行。事業内容を改めて教えてください。

田村:当社には、大きく分けて「個人」「法人」「投資家」といった3つの顧客セグメントに応じた事業部門があります。PRが関わってくるのは、主に個人事業ですね。

三井住友信託銀行株式会社 人生100年応援部 次長兼企画チーム長 田村直史氏(左)/同企画チーム兼営業推進チーム調査役 辻内喬之氏(左)

個人事業の代表的な機能は、積立投資や投資一任などを通じて老後資金を準備したり住宅ローンなどで住宅取得をご支援したりする「資産運用・形成」、認知症などに備えながらお金を適切に使えるようにしていく「資産管理」、遺言などでお気持ちに沿った資産の遺し方をサポートする「資産承継」です。

東京都千代田区一丁目・三井住友信託銀行本店ビル

人生100年時代と言われる現代ですが、従来人生80年を想定していたものが100年になり、社会的な仕組みにも歪みが生じてきています。個人事業では、こうした歪みを解決したり緩和したりするための商品やサービスを幅広く開発、提供しています。

事業として抱えていた課題は?

田村:自分たちのビジネスの中には超高齢社会への対応といった社会的価値があるものが多く含まれているにも関わらず、お金をかけた広告宣伝以外の手段を用いて「メディアに報道して貰う」という視点が不十分だとの課題認識がありました。

せっかくの価値あるビジネスも周知が不十分では意味がないという危機感があった

情報をどう加工すればメディアが「報道する価値がある」と捉えてくれるのか、改めて見つめなおしてく必要があると感じていました。

情報の発信先についても、新聞やキー局といった大手メディアの方とは繋がりがあり、ご質問にお応えしたりする中でこれまでもPRに取り組んできてはいたのですが、例えばネットメディアや雑誌などの方とは繋がりが殆どありませんでした。人手もない中でこうした先も含めたメディア全般と付き合っていくにはどうしたら良いのか。悩んでいたところ、PR会社という業態があるということを知りました。

事業を伸ばすための武器としてPRの話を聞いてみたいと思われたのですね。

田村:そうですね。とはいえ、まずはPR会社という業態についての勉強からでした。PR会社主催のオンラインセミナーにいくつか参加し、すごくキラキラしている世界だな、と(笑)。一方で、参加したセミナーでは、「バッとやってドッと出て」みたいな抽象的な表現が多く、申し訳ないのですが少し疑わしいイメージを持ってしまったのも事実です。

まずは「PR業界」「PR会社」の調査から開始したという田村氏

KMCに声がけしたきっかけは、社内に薄く接点のある者がいたからなのですが、担当の方はとても誠実なイメージで安心してお話できました。さらに、普段疑問に思ってどう解決すればいいかわからなかったこと、そこをまさにKMCがソリューションとして持っていたので、ぜひお願いしたいという気持ちになったんです。

具体的には、どのようなノウハウや知見が課題解決に役立ったのでしょうか。

田村:もともと持っていたPR会社のイメージとしては、メディアが取り上げたくなるリリース文の作り方、その法則などを教えてくれるのかな?という感じでした。実際にはメディアの取材誘致までお願いできるのか!と。

全国で資産管理セミナーを開催したときも、キー局は自社で繋がりあるけれども、地方局はエリアによってはあまり接点がなく、KMCに取材獲得を支援いただきました。

事業部主導でプレス発表会を実施したのが印象的だったと語る辻内氏

辻内:特に印象的だったのは、「おひとりさま信託」のプレス発表会ですね。当社の場合、本格的なプレス発表会というと、業務提携や合併など会社としてのニュース時のみ。敷居が高いイメージがあったんです。それが、KMCの担当者さんにすすめられて、初めて事業としてプレス発表会を開催することになりました。

「おひとりさま信託」プレス発表会の様子はテレビ東京系WBSでも報じられた

田村:商品名のパネルが並んだ背景の前に、いつも一緒に働いている社員が座って話しているのを見て、こんなに立派に見えるんだと驚きました(笑)。従来は個別に記者さんとお話させていただき、商品のご説明をして、記事になったらいいな、という流れ。たくさんの方をお呼びして、大々的に発表して、メディア露出の広告効果を効果測定をする、という手法は本当に未経験でした。

辻内:1事業の1商品でも十分プレス発表会は成り立つんだとわかったのは非常によかったですよね。実は、この商品をきっかけに当社のお客さまになったという人も少なくないんです。露出を高めPRしていく商品として打ち出してよかった、という実感を持っています。契約数も右肩上がりで、最初の道筋を作ってくださったのはKMCだったなと感じています。

KMCのPRサービスを通じて得たものや変化したことは?

田村:「メディア露出にあたっての7か条」です。かなり初期の頃に、ここを押さえるとうまくいくんですよ、と教えていただいたのですが、それが我々の中で今でも基軸になっています。このフレームワークを軸に、これってひょっとしてニュースになるのでは? 社会的価値があるのでは?という視点で物事を見られるようになったのは、大きな変化です。

広報・PR的な視点を手に入れたことで、成果も変わった

辻内:たしかに、PRのサポート自体も、もちろんすごく助かったんですが、新たな視点を得たことはすごく大きいですよね。根付くまではまだ行き着いていないけれど、気づくことができた。今月は◯◯だから人はこう動く、だからこういう対外発信をするみたいな意識を持つことが大事だと、日々すごく実感しています。

KMCとの取引を通して、普遍的なコミュニケーションのフレームワークを獲得

田村:7か条は、社内向けの資料やニュースにも応用しています。どこの銀行も同じだと思いますが、とにかく毎日大量の情報が社内向けに発信されていまして、ルールなどの変更や新しい営業施策、研修ツールなどの確認に忙殺されていて、ついつい読み飛ばすようなきときも。そこで7か条の登場ですが、例えば、同じ内容の発信であっても、ダラダラ40行の文章ではなく、冒頭にトピックス的な見出しがあったり、気になる表現があったり、主語が社員自身であったりすると伝わり方が全然違います。コミュニケーションのフレームワークとしても、7か条は普遍的に使えます。

現在は、行動経済学の有名な先生にも関わっていただいて、7か条で経験則から学んだことを、学術の面からも裏付けしているところです。経験と学問、両方の面から運営を更に高度化していきたいと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

田村:オンライン、デジタル、DX……増大していく一方の情報流通量の洪水の中では、目に留めてもらえる発信がより重要になってくると思います。社会的に価値のある商品・サービスを作っていくということはもちろん、これを分かり易くインパクトのある形で演出し発信していくという発想をより強固にしていかないといけない。作って、流して、選ばれて、そのノウハウを蓄積してぐるぐる回転させていく。そんなイメージです。社会的価値と経済的価値の両立を目指していきたいと考えています。

KMCに期待したいのは、10発信して3届く、ではなく10発信すれば40〜50届くというソリューション。どういう切り口で、どんなタイミングで発信するべきか、今後も専門家としての知見をお借りしたいと思っています。

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