AI Overviews時代、広報はどう変わる? PR・エンジニア ・メディアの交差点で語るリアル

最終更新日: 2026年04月20日(月) PRのヒント

情報収集に欠かせないインターネット検索ですが、AI Overviews(AIによる概要)の登場で変わりつつあります。AI Overviewsとは、Google検索で検索キーワードに対する回答をAIが自動生成し、検索結果の最上部にまとめて表示する機能のこと。KMCgroupでは、この変化を時代の必然として捉え、クライアントの情報伝達を最適化するうえで重要な機能として注目しています。PR・メディア・エンジニアとKMCの各グループ会社でお客様の最前線に立つ4名に、AI Overviewsの可能性とPRでの活用法について語ってもらいました。

メンバー紹介
PR:岩崎(PR戦略局長 兼 広報DX事業 SmartPR代表)
メディア:山口(メディア事業統括編集長)
エンジニア:福原(広報DX事業エンジニア)

1. AI Overviewsとは?広報・PRへのインパクト

――AI Overviews(以下、AIO)が出てきて、正直どう思いましたか?広報やPRにとって、何が変わったと感じましたか?

岩崎:最初は正直、そこまでパラダイムシフトのような感覚はありませんでした。ただ、実際に「ゼロクリック検索」を自分自身がやっていることに気づいたとき、これは無視できないと確信しました。情報の取得方法そのものが、今まさに変わりつつあるんだなと実感しています。

※ゼロクリック検索:検索結果画面に表示されたAIの回答だけでユーザーが満足し、元のウェブサイトをクリックしない現象のこと

山口:ゼロクリック検索は自分もやっていますね。メディア側からすると、正直ちょっと困ったなという危機感はあります。ユーザーにとって便利になる一方で、自分たちが苦労して作った情報が届きにくくなっている。ただ、AIがコロナ禍前の古い情報に基づいた回答を出してしまうこともあり、信頼できる新しい一次情報が世の中に足りていないと実感しています。

岩崎:山口さんの言う通り、情報の鮮度や情報のアップデートは非常に重要ですよね。PR・広報の視点でいうと、メディアの方々への情報発信のタイミングや鮮度は非常に大事にしていました。これに加えて、今ではAIOの登場で情報がユーザーに届くルートそのものが変わってしまい、戦略の見直しが求められていると感じます。だから今、AIOに対する企業からの関心度は非常に高いですね。

2. テキストの書き方・届け方、ここが変わった

――以前のGoogle検索で上位を取るSEOと、今のAIOを意識したやり方では何が違いますか?

※SEO:検索エンジン最適化。Googleなどの検索結果で自社Webサイトを上位に表示させる施策

山口:以前は、ヒット記事と似たような記事の量産が通用した部分もありました。でも、今はそれではユーザーに届かなくなっています。同じ取材先を扱った記事でも、独自の視点や切り口を持たないコンテンツは埋もれてしまいます。ドメイン(サイト)としての評価を上げるためには、良質なコンテンツの蓄積が必要です。

岩崎:確かに、それはありますね。そうなると、プレスリリースの書き方を変える必要性も出てくると思います。より実績に基づいたファクトをどれだけ具体的、かつ丁寧に盛り込めるかが勝負になるんじゃないでしょうか。AIは抽象的な表現よりも、具体的な数字や事実を好んで拾いますから。

3. エンジニア視点で見るAI Overviewsの仕組みと可能性

――技術的な視点から、AIに情報を正しく読み取ってもらうコツはありますか?

福原:Googleの公式発表では、AI Overviewsと構造化データとの直接的な因果関係は明言されていないのですが、エンジニアの視点から言えば、構造化することによって検索エンジンが読みやすくなるのは間違いないと思います。検索エンジンが理解しやすい基盤を作ることは、AI Overviewsに取り上げられる確率を高めるための、かなり有効なアプローチになるはずです。

※構造化データ:Webページの内容を検索エンジンに正確に伝えるためのデータ形式

山口:あとは専門性の高さも重要ですよね。メディア全体が特定のジャンルに特化して、適切にカテゴライズされているほうが、AIにも「この情報のことはこのメディアに聞けばいい」と認識され、取り上げられやすくなっていると感じます。

4. PR視点の「AI時代の情報発信」戦略

――AIに拾ってもらうためには、具体的にどこに向けて情報を出すのが一番効率的なんでしょうか?

岩崎:自社のオウンドメディアはもちろんですが、外部メディアの重要性も増していると思います。2025年のAI引用元ランキング(※1)を見ると、1位のWikipedia、2位のnoteに混じって、5位にPR TIMESが入っていました。これは、リリース配信サービスがAIにとっての重要な情報源になっているということです。あとは、日経新聞や朝日新聞など大手マスメディアのサイトも上位にランクインしているので、リリース配信サービスやマスメディアへの露出は、依然として強力なPR活動になります。

※1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000160942.html

――結局、自社サイトで情報を充実させることが、AIに拾われるための重要な下積みになるという、基本に立ち返るわけですね。

5. メディア側としてのリアルな変化と適応

――メディア側として、AIとの差別化で意識していることはありますか?

山口:先ほども少し触れましたけど、例えばプレスツアーでみんなが同じ写真を撮って、同じようなスペック紹介を書く、というスタイルは、もう通用しない時代です。AIにはできない編集力こそがメディアの価値だと思います。

――つまり、メディアの独自性を出すことが、そのままAI対策にも直結するわけですね。

山口:はい。例えば、10カ所ある見どころから、あえて時間がないときに見るべきはずせない2カ所に絞って提案するなど、独自の視点で取捨選択を行った情報が求められるようになると思います。引き算のある情報こそが、メディアとして個人の発信者やAIとの差別化につながるのではないでしょうか。

6. AI Overviewsに載った!or 載らなかった…その差は?

――AIOに取り上げられるサイトとスルーされるサイト、この差はどこにあるんでしょう?

福原:基本はやっぱりSEOが強いサイトがAI Overviewsに取り上げられやすい傾向はあります。その上で、他がまだ出していない独自の一次情報をデジタル化しているかどうかが分かれ目です。どれだけ技術的に整えても、中身が薄ければAIは選びません。これまで以上に、本当にユーザーのためになるか、という本質が問われていると思います。

岩崎:私はこれからは、なぜAIに選ばれたのか、あるいは選ばれなかったのか、それをモニタリングすることも重要になると思っています。例えば「節電効果の高いエアコン」と検索して、競合他社が引用されたら、AIに「なぜ他社が選ばれたの?」と聞いてみる。その回答をもとに検証用サイトを作って試行錯誤するような動きも必要になってくるんじゃないでしょうか。

7. AI Overviewsに強いコンテンツとは?

――これから「勝てるコンテンツ」を作るためのヒントを教えてください。

岩崎:今、一番可能性を感じているのは、物理データのデジタル化ですね。

山口:私もそう思います。ある取材先に行った際、ネットには一切出ていない貴重な紙の資料が山ほどありました。今の時代、デジタルになっていない情報は存在しないのと同じですから、こうした“お宝”ともいえる情報をデジタル化して世に出すことは、最強の一次情報発信になりますよね。

岩崎:だから、メディアに対して発信するようなニュースバリューの強い情報だけでなく、社内の小さな実績や知見も丁寧にデジタル化して、オウンドメディアやSNSなどを通じて発信し続ける姿勢が重要です。

8. 企業広報として今から何をしておくべき?

――AIOの波に乗り遅れないために、まず何から始めればいいでしょうか?

岩崎:やっぱりAI時代にファクトが重要視されることは間違いないので、まずは自分たちの情報という資産をデジタル化することから始めるといいと思います。社内に眠っている、まだデジタル化されていない情報をオンラインに公開する準備を進めましょう。なかなか手が回らないところもあるかもしれませんが、それこそAIを活用して、オウンドメディアや自社サイトを充実していけるといいですね。

それに加えて、AIOやGEO、LLMOといった基本的な用語を理解しておくことも必要だと思います。現在の検索行動の変化を把握しておくことが、適切な対応を取ることにつながるので、常にトレンドをキャッチアップしていきたいですね。

※GEO:生成エンジン最適化。生成AIの回答において、自社の情報が優先的に引用されるよう最適化すること
※LLMO:大規模言語モデル最適化。ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデルに、自社の情報が優先的に引用されるように最適化すること

福原:僕は、あえて今まで通り地道に、と言いたいです。ユーザーファーストのコンテンツ作りというSEOの基本を継続することが、一番の近道だと思います。

山口:私は、個人の発信者が増え、AIOの利用も増えている一方で、客観性が維持されているメディアのニーズがなくなるわけではないと考えています。なので、広報の皆さんにはメディアをうまく利用して、価値のある一次情報を発信していってほしいですね。

9. AI Overviewsに立ち向かう広報のこれから

――最後に、AI Overviews時代に立ち向かう皆さんの意気込みを聞かせてください。

福原:僕はエンジニアとしてSEOの基本を徹底しつつ、さらにAIにも参照されやすい設計を極めていきたいですね。技術の力で広報の可能性を広げていきます。

山口:私はメディアの立場から、まだデジタルになっていない、埋もれている価値ある一次情報を一つでも多く掘り起こして、世の中に送り出していきたいと思っています。

岩崎:私は情報の資産化ですね。曖昧な表現をなくして、ファクトを明確に、あらゆる情報をデジタライズすることで、クライアントの強みをAI時代でも揺るぎないものにしていきます。

AIの登場は決して脅威ではなく、むしろ広報の価値を再定義するチャンスといえます。「まずは社内の情報を整理したい」「自社サイトをAIに強い構造に変えたい」といった具体的なご相談から、AI時代を見据えた戦略立案まで、AI Overviews対策や効果的な情報発信については、ぜひKMCにご相談ください。

おすすめタグ