【実績報告】「PRアワード2025」にて「#第3の賃上げアクション」がシルバーを受賞

「PRアワード2025」にて、株式会社エデンレッドジャパン様とKMCgroupが取り組んだ「#第3の賃上げアクション」プロジェクトがシルバーを受賞しました!今回、BtoB企業としては唯一の受賞となりました。
今回は、PRアワードの概要と受賞プロジェクトの内容、そしてプロジェクトを牽引した両社担当者のコメントを通じて、PR戦略の裏側をご紹介します。
シルバー受賞「#第3の賃上げアクション」プロジェクトの背景と成果
今回受賞した「#第3の賃上げアクション」は、物価高騰や賃上げ原資の確保に苦しむ中小企業の閉塞感を打破するために提唱された、新たな賃上げのアプローチです。
2022年以降の未曾有の物価高を受け、社会全体で賃上げが急務となる一方、多くの中小企業にとっては厳しい状況が続いていました。そこで、定期昇給(第1の賃上げ)、ベースアップ(第2の賃上げ)に続く概念として、福利厚生(食事補助など)を活用して従業員の“実質手取りを増やす”手法を「第3の賃上げ」と定義しています 。
「#第3の賃上げアクション」は単なる一企業のキャンペーンにとどまらず、160社以上の賛同企業を巻き込んだ業界横断の社会的アクションへと発展しました。
具体的な成果として、エデンレッドジャパン様の食事補助サービス「チケットレストラン」の2024年新規契約数は、インフレ前の2021年比で約7.3倍に増加。さらに、メディア露出に伴う推定リーチ数は2025年上半期だけで約6,000万人、日本国民の2人に1人に達する規模となりました。
また、このムーブメントは政策議論にも波及しており、40年以上変わらなかった食事補助の非課税枠(現行月額3,500円)を8,000円へ拡大するための提言活動へとつながっています。
KMCとのワンチーム体制で日本国民の半数に届くリーチを実現
この「#第3の賃上げアクション」を推進した、株式会社エデンレッドジャパンの高木順子様に、受賞の喜びとKMCとの協業についてお話を伺いました。
「2年間、誰も知らない状態から『第3の賃上げ』という言葉を広めるために努力してきた結果が、このような形で実を結び、非常にうれしく思います。
私たちのサービスはBtoB製品であるため、メディアに取り上げてもらうためのフック探しが課題でしたが、KMCの皆さんの機動力と手厚いサポートのおかげで、大きな注目を集めることができました。
KMCの皆さんは非常に意識が高く、まるで同じ会社の従業員であるかのような『ワンチーム体制』でコミットしてくれました。その結果、2025年上半期にはメディア露出を通じた推定リーチ数が6,000万人に達し、グローバル本社からも高い評価を得ることができました。来年以降もこの啓発活動を継続していきたいと考えています」
論理的な「定義」と共感を生む「ストーリー」の両立

―「#第3の賃上げアクション」について、PRとして心がけたのはどのようなことですか?
佐藤:『第3の賃上げ』という言葉は、一見すると安易なコピーに見えるリスクがありました。だからこそ、メディアや社会に受け入れられるためには、定義・ロジックの確立とストーリー性の両立が不可欠でした。
― 定義の骨格づくり、ロジックの確立はどのように行いましたか?
佐藤:「実質的な手取り向上」という価値を社会に正しく伝えるため、クライアントと数カ月にわたり議論を重ね、概念の定義を丁寧に構築しました。
もともと福利厚生には、定められたルールのもとで運用すれば、給与とは異なり支給額が課税対象とならない“非課税”という原則があります。給与として支給すると税金により目減りしてしまう場合でも、福利厚生として提供すれば、そのまま従業員の実質的な手取りとして残ります。
この“賃上げ効果”のある福利厚生が「第3の賃上げ」です。もともと昇給形態には、定期昇給、ベースアップという2つの形があったので、そこに続く形態として「第3の賃上げ」と名付けました。
ここ数年、企業は「物価上昇を上回る賃上げ」が求められていますが、このような賃上げ効果のある福利厚生(=第3の賃上げ)の存在は、まだまだ知られていません。
知られていない概念だからこそ、あらゆるステークホルダーに今なぜ、福利厚生が求められるのか、どのような効果・メリットがあるのかなど、説得力と納得感ある形で理解いただく必要があると考え、両社で慎重に議論し、「第3の賃上げ」の定義づけを行いました。
―ストーリー性について具体的に教えてください。
佐藤: ロジックだけでは“共感”は生まれません。昨今の物価高を背景に、賃上げ機運が高まる中で、企業の経営者、そして生活者はどのような課題を抱えているのか。そしてその課題に対して、「第3の賃上げ」がどのような価値をもたらすのか。
その“ストーリー”がきちんと伝わることで初めて、「第3の賃上げ」は単なる言葉ではなく、社会に必要とされる“ソリューション”として意味を持ち、共感へとつながります。
そこで「第3の賃上げ」の定義づけやコンセプト設計に留まらず、企業の抱えるリアルな課題や実際に利用する従業員の声を調査により浮き彫りにし、社会全体の課題感(=実感なき賃上げ)と接続させることで、この概念に“実感を伴う”ストーリーをつくることを心がけました。
具体的には、春闘の時期には経営者を対象とした調査が数多く公開されている一方で、「従業員」を対象にした調査はほとんど存在しなかったことから、従業員目線での賃上げ後の生活実感や行動変容を明らかにする調査を実施しました。これによりビジネスメディアのみならず、テレビや一般メディアでも「生活者の課題」として取り上げられる土壌をつくることができました。
―メディア出身であることの強みをどのように生かしましたか?
佐藤:私自身がテレビ業界出身であることから、どのプロジェクトでも「番組会議に企画を通すためには何が必要か?」という視点から逆算して企画を設計しています。
今回も同様で、例えば、企業へのヒアリング段階から取材可否や撮影シチュエーションを確認するなど、メディアが画にしやすいポイントやインタビュー案を番組側に提案できるよう事前に準備していたことで、スムーズな露出獲得につながりました。
―PRアワードシルバー受賞を受けて、今後の展開について教えてください。
佐藤:「#第3の賃上げアクション」は、クライアントとの密な情報共有と建設的な議論を重ねる中で、共通の目的を持って推進してきた取り組みです。
今後も「第3の賃上げ」が社会における実効性のある選択肢として定着するよう、さまざまな企業との協業を通じて取り組んでいきます。
一企業のキャンペーンから拡大し、業界横断の社会的アクションへと発展した「#第3の賃上げアクション」。今回の受賞では、「スポットが当たりにくいBtoBサービスを賃上げという社会文脈にのせ、今世の中で議論すべきアジェンダに昇華させた好例として、第3の○○という耳馴染みのあるコピー開発もさることながら、各PRアクションのWhen・Who・Whereを戦略的に設定し、社会からの注目、賛同を狙い通りに集めている実施展開も秀逸」と評価されました。
KMCでは、社会課題と企業のソリューションをつなぎ、世の中に新たな価値観を提示するPR活動を続けてまいります。
PRアワードとは

「PRアワード」は、日本パブリックリレーションズ協会が主催する、わが国のコミュニケーション技術の質的向上とパブリックリレーションズに対する理解促進を図ることを目的としたアワードです。
「PRアワード2025」では、全国で取り組まれた数々のPR施策の中から、グランプリのほかに「ゴールド」が1件、「シルバー」が4件、「ブロンズ」が5件、審査委員特別賞が1件選出されており、「#第3の賃上げアクション」はシルバー受賞という高い評価をいただきました。