そのプレスリリースは誰のため?PR活動の成否を分ける4つのセオリー
テレビの制作現場では、これまでのヒット番組の傾向や世のトレンドを意識した番組作りが行われていますが、成功する企画には、いくつかの共通点があります。その点を踏まえ、PR活動に有効な情報発信の手法について戦略を立てていきましょう。
前回まで、テレビまわりの基礎知識や、PR活動に役立つ媒体研究とコミュニケーションの手法について解説してきましたが、もうひとつ、絶対に欠かせないノウハウが「情報発信の方法」です。
まず、前回までの内容をごく簡単におさらいしておきましょう。PR活動と相性の良いテレビ番組があり、それぞれの番組には「キーマン」がいること、そして、企画として取り上げてもらうためには「情報がテレビの“画”を意識したものであること」が大切だと説明しました。
それでは、どのように情報を発信していけばいいのでしょうか。ここからは、実践的な戦術を考えていく段階です。
情報の「魅せ方」で企画はもっとおもしろくなる!
発信した情報がテレビ番組の企画として通るために必要な要素を重要度順に並べると、以下のようになります。
- 企画力
- プロモート資料
- 関係値(コネクション)
- 番組知識
1つずつ説明していきましょう。
まず一番重要なのは、言うまでもなく「企画力」。建物に例えれば基礎と土台のようなものであると同時に、受け手の第一印象も左右します。社会性や目新しさ、視聴者が欲している情報かどうかで企画が評価されます。
続いてプレスリリースを始めとした「プロモート資料」です。テレビへの露出のきっかけを作るプレスリリース作成の際には、「伝えたいこと」を並べるのではなく、「多くの人が関心を持つこと」にスポットを当てることが大切です。例えば、「開発に3年!待望の新商品が発売」というタイトルは、言ってみれば企業内部の事情にすぎません。ここに、ドラマ性や、時事性、わかりやすい問題解決効果などを盛り込んでおきたいものです。
3つめは、「関係値」。日々、膨大な情報が集められるテレビ番組の制作現場では、ものすごいスピードで情報が埋もれていきます。情報が誰かの目に触れる確率を増やすためには、企画に携わる担当者とある程度の信頼関係を構築しておくことが大切です。
最後は、意外と軽視されがちな「番組知識」。当然のことながら、番組によって取り上げる情報のカラーは異なります。例えば、男性の出演者だらけのバラエティ番組で美容情報が取り上げられる確率は低く、午前のワイド番組で硬派な時事ネタが取り上げられる日は少ないでしょう。企画づくりは、「相手がどんな情報を発信しているのか」という分析に基づいていることが大前提なのです。それをわきまえずに、自分の主張を押し付けるような手法をとると、相手の時間を奪う“迷惑な人”になる可能性さえあるので要注意です。
自分本位の売り込みではPR活動が成功することはない
説明した4つの要素が必要なのは、テレビ番組だけではなく全てのPR活動の基礎といえるものであり、どの要素が欠けても勝率は大幅に落ちます。
テレビ番組への露出は、広告料を払わずともPR効果を得られる効率的な方法であることは間違いありません。しかし、制作者が番組作りの材料となると判断した情報でなければ、採用されることはありません。つまり、こちらが紹介したいと思っていること、相手が紹介したいと思えることがうまくマッチングすることなしに、成功が訪れることはないのです。
論語に「彼を知り 己を知れば 百戦あやうからず」というものがあります。テレビという媒体についてよく調べ、求められる企画というものを、じっくりと考えてから行動にうつすことが必要です。
最後に、業界関係者の間でよく使われている、テレビを一言で表すフレーズから、テレビとは何かを考えてみましょう。
「テレビは『◯◯~』と『◯◯~』でできている」
この◯の中にどんな文字が入るか、ぜひ、考えてみて頂きたいと思います。