業界縮図&歴史~これからのPRに求められる力

PR業界の役割・重要性とは?


もともと企業は消費者の目線よりも、自らの営業活動において利益になる情報を発信したいものです。「発信したいことを発信したい形で届けたい」という想いと『広告』の形式がマッチするため、あらゆる企業では長年『広告』の考え方が定着しています。自社の利益を一番に考える企業にとって、広告を多用することはある種、当然の感覚です。

しかし自社の製品やサービスを購入してくれる消費者に対して、こちらの都合だけで情報を発信していては、良好な関係を築くのは難しいです。加えて、信頼を勝ち取るとなるとさらにハードルが上がります。

そこへきて、PR業界は「発信側と受け手側の双方に利益があるよう関係を築く」ことを柱に活動をしています。広告のように一方的に情報を発信する方法とは異なり、消費者とコミュニケーションを取りながら進めるPR。現在の宣伝活動にPR業界は欠かせない存在になっています。

PR業界の縮図


現在、PR業界は一口に説明しにくいほど、多様化しています。あえて縮図に落とし込むとなると、主に『戦略系・リレーション系』の違いと『媒体』のジャンルにわけられます。たとえば、戦略施策をweb展開するPR会社もあれば、培ったリレーションを利用したマスメディア施策が得意なPR会社もあります。

もちろん、多様化するPR業界の中では媒体にとらわれず戦略系を主とする企業や、マスメディアとWebどちらにも強みがあるPR会社もあります。さらには、食品業界であればPR全般を担うなど、商材で売りをもつPR会社も見受けられます。

昨今のPR業界ではアドバンテージとしている部分がさまざまなPR会社がひしめいています。そのため、PRを希望する企業にとってはベストマッチしたPR会社を見つけやすい環境にあると言えます。

PRの歴史から見る業界の傾向

PRの始まりは19世紀のアメリカです。アメリカではPRや広告といった言葉が馴染む前から、政治の世界において宣伝活動を利用しています。当時からラジオや新聞などで好意的な報道をされれば当選、批判されれば落選という顕著な違いが生まれていました。その背景から政治家の行動をコンサルする個人や団体が登場します。これが、現在のPR会社の前身です。

PRが一般に浸透した背景

政治の世界だけで使われていたPRが一般企業や一般人に浸透し始めたきっかけは、1906年10月28日に起こった『アトランティックシティ鉄道事故』です。53名の死者が出た悲惨な事故を受け、当時のPR専門家『アイビー・リー』の指示のもと、現在のプレスリリースにあたるものが発信されました。

これまでのアメリカでも、一般企業が起こした事故や事件が発生していましたが、ほとんどがもみ消す形で一般に知れ渡ることはありませんでした。しかし時代の流れとともに、民衆が力を持ち始め、いよいよ隠し切れないことを察知。事実を包み隠さず報道機関に発表しました。斬新な発表は翌日のニューヨークタイムズに全文掲載され、瞬く間に認知。もちろん、批判的な意見もありましたが、今までの対応に比べ好意的に捉える民衆が多かったと伝えられています。

PRが日本国内に浸透した背景

PR先進国のアメリカの影響を受け、日本のPR業界も発展することになります。戦前の日本では、報道とは政府が発表した形で国民に知らされることが一般的でした。しかし戦後、GHQが「日本を民主国家にするためにはメディアの発達が鍵」とし、報道の自由などがもたされ、日本PR業界の礎が築かれました。

以降、外資系のPR会社などの影響を受けつつ進化を遂げてきました。現在のように日本国内でもPR業界が広く認知されるようになったのは1990年代頃です。

現在のPR業界

PR業界はその時代のニーズにより日々求められる施策が変化してきました。日本でも同様に新に次のような対応を求められています。

1. SNSを利用したPR活動
2. インナーブランディング

1. SNSを利用したPR活動

PR業界はメディアの発達とリンクするという側面をもっています。そのため、現在のPR業界の施策として注目が集まっているのはInstagramやTwitter、FacebookといったSNSを利用したPR活動です。

一方通行の広告を行っていた過去に比べ、消費においての失敗が少なくなった現代。消費者にとって満足度が高いことはもちろんプラスですが、企業においては今までの広告では物やサービスが売れないことを意味します。そこで消費者との関係を構築する、PR活動が行われています。

Instagramを利用した施策であればインスタグラマーにPR投稿を依頼したり、企業が消費者との関係づくりをTwitterなどで行ったりする施策がされるようになりました。消費者の日常に溶け込める恰好のツールとして、SNSを利用したPR活動が行われています。

2. インナーブランディング

インナーブランディングとは企業が社内(社員)に理念・ビジョンを浸透させるために行う活動です。消費者に対してのPR同様に、社内(社員)へ向けて社内報をはじめとした広報活動を行います。

PR会社を導入してインナーブランディングに取り組むようになった背景としては、慢性的な人材不足にあります。社員に理念・ビジョンが浸透してないことなどにより企業が同じ方向に向かず、離職につながるなど深刻な問題です。

PR会社の施策によりインナーブランディングを行うことで、現在所属する社員だけではなく、採用を予定している人材に対してもプラスの影響を与えることができます。PR会社を導入したことで、離職率の低下や採用活動も円滑に進めることができるのです。

これからのPR業界に求められるもの


PR先進国でもあるアメリカに目を向けると、マスメディアの力の低下が見受けられます。ニューヨークタイムズやフォックステレビなどでは雇用が安定していません。しかし、これらのマスメディアで働いていた記者などはバズフィードなどのwebメディアへの転職、もしくはPR会社へ流れていることが伺えます。

マスメディアを経験してきた記者たちは自らコンテンツを制作し、SNSなどで発信しているのです。今までは取材をしてもらう立場であったPR業界が、メディアを介さない情報発信へスライドしている傾向にあります。今後、PR業界全体でも制作から発信まで一貫した対応が求められることが考えらます。

かといって、マスメディアや広告がまったく必要なくなったわけではありません。それぞれに強みがあり、消費者に与えられるものが異なるのも事実です。今後のPR業界には、特性を理解したうえで進める、PR・広告・メディアミックスの考えが必要になるでしょう。

確実な成果にはPR業界、広告、メディアへの理解が必要不可欠

よく「自社の製品がPRで売れる自信がない」と話される広報担当者様がいらっしゃいます。PR業界はなんだか遠い存在に感じることもあるでしょう。しかしご紹介した通り、PR会社は多様化、対応範囲も増え、時代のニーズに合わせ日々進化を遂げてきました。選択肢が増えたことにより、マッチしたPR会社が見つかりやすいはずです。

ただ導入の際は、PR業界のみならず広告やメディアへの理解が必要です。「どの手法だけ使い、どの手法は使わない」などと決めつけるのではなく、すべての手段に対して前向きに検討する必要があります。もちろん、判断が難しいこともあるでしょう。その場合はぜひともPR会社へ相談を投げかけてみてください。きっと経験やデータから最善の策を提示してくれることでしょう。

記事監修

  • 株式会社カーツメディアコミュニケーション 代表取締役
    富樫 嗣 (Yuzuru Togashi)

    2003年 証券会社入社
    2006年 出版社入社
    2009年 ヘッドハンティングを経てPR会社に入社
    消費財や自治体、出版のPRコンサルティングで成果を上げる
    2011年 株式会社カーツメディアワークスの経営に参画
    PRコンサルティングにとどまることなく、ニュースメディアを筆頭に3メディアの立ち上げ~運営のプロデュースを担当
    2014年 株式会社カーツメディアコミュニケーション設立
    代表取締役に就任

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